第6章 轟焦凍✕アコースティッコフィリア【音響愛好】
自分の歌が好きだと言ってもらえて、素直にとても嬉しかった。
誰かにそんな事を言われたのは、確か、2度目だ。
下を俯いていた顔も、自然と笑顔になった。
「いや……歌だけじゃないな。」
……?
どうしたのだろうか‥‥急に雰囲気が変わる。
「歌だけじゃ無え。俺は、お前の歌も声も、お前の事も好きだ。初めて教室の窓からお前の歌声を聞いた時から、ずっと。
だから
俺に、俺だけに、もっとお前の『音』を聞かせてくれないか」
「きゃ!!?」
ドン!!!
彼の突然の告白に対して思考をまとめるよりも速く、視界が反転した。
背中を強く打ち付けた衝撃と共に、目を開ければ間近に轟くんの顔が見える。
「な、何するのっ、!?」
起き上がろうにも、手を押さえつけられて起き上がれない。
男の人の力とはこんなにも強いものなのか。