第6章 轟焦凍✕アコースティッコフィリア【音響愛好】
「今週の日直、お前だったな。」
「う、うん、」
別段轟くんのことは苦手という訳では無いけれど、普段あまり話さない分キョドった返事をしてしまう。
「悪ぃな、急に話しかけて」
そう言うと彼は落ちてしまっていた書類を拾って私に手渡してくれた。
「ううん、大丈夫。それよりも、何で轟くんが此処に?皆帰ってからだいぶ時間経ってるから」
「あぁ、俺も少し用事があってな」
‥‥?
優秀な彼の事だ。きっと先生から何か用事を頼まれたのだろう。
あまり詳しくは聞かないことにした。
「そっか、こんな時間に誰かが居ると思わなかったから少しびっくりしちゃった。」
‥‥書類落とすくらいには驚いちゃったけど‥‥
きっと今の私は顔が赤くなっていることだろう。
夕日の明るさで誤魔化せれたら良いんだけど
「なぁ、」
「?」
急に轟くんに見つめられて心臓がドキリとした。
いや、こんな美形な男の子に見つめられたら誰しも心臓の鼓動は高まる筈だろうけど‥。
「今日は、もう歌わねぇのか?」
「え‥?」