第6章 轟焦凍✕アコースティッコフィリア【音響愛好】
数日後
私は今週当たっていた日直の仕事を終わらせて、教室で日誌を書いていた。
いつもなら中庭に行っている時間帯だが、こればかりは仕方がないと自分を納得させる。
誰も居ない教室で一人仕事をするのは少し寂しい気もしていた。
「……よしっ!これでもう仕事は終わりかな」
トントンと書類を机に当てて整え、クリップで止める。
後はこれを明日職員室に出せば終わりだ。
もう時間もあれだし…今日は大人しく帰ろうかな‥‥。
歌えないのは残念だけど、もうほとんど夕日も沈みかけている。
仕方なく荷物を持って教室を後にしようとした時
「‥‥木凩‥‥?」
「!、?」
急に背後から声をかけられて体がビクついて思わず提出書類を落としてしまった。
クリップをしていたからまだ良かったものの、何枚かはバラけていく。
「と、轟くん‥‥?」
声の主は轟くんだった。
クラスの中でも特に注目を集める彼が、こんな時間にまだ学校に残っているとはまさか想像も付かなくて思わず問いかけてしまった。