第4章 折原臨也✕ダクライフィリア【泣哭性愛】
___________…
最初は特に助けるつもりなんてなかった。
いつも通りの夜。
いつも通りの人の行き交い。
いつも通りの音。
全て、俺の中ではいつもの日常の筈だった。
今日も情報屋の仕事を終えて、シズちゃんをからかって、家に帰る為の道を歩いていた所。
「やめて……下さい‥っ!」
裏路地の方から女の声が聞こえた。
ここは池袋。
明るい所もあれば暗い所もある。
また何処かの奴らが女を襲っているのか人身売買の為に攫おうとでもしているのか。
どちらでも俺には関係ない事だ。
でもその日は、何となく、その声のする方へ行きたくなった。
野生の感‥ってやつ?………シズちゃんみたいで何か嫌だけど。
まぁ情報屋として情報収集のひとつとして考えよう。
✱✱✱✱✱
裏路地の暗闇を歩いていくと、男が2人、女1人を襲っている姿があった。
俺がまず目に付いたのは抑えている男でも、破かれた女の服でも無い。
彼女が流している綺麗な涙だった。
嗚呼、嗚呼…!なんて綺麗なんだろうか。
今まで自殺志願の人間を騙したりして遊ぶと、決まってその人は泣いて助けを呼んだり、ただひたすら涙を流した。
どれも俺にとってはどこか対してつまらない物のように感じていたが。
だが、彼女の涙はどうだろう。
今までとは明らかに違う!
薄い月明かりの中キラキラと輝く大粒の雫は、俺の感情を高ぶらせ、1つの結論へとたどり着く。
【嗚呼、彼女を俺の手で哭かせ、俺為に涙を流させたい】
______と。