第4章 折原臨也✕ダクライフィリア【泣哭性愛】
「──ねぇ君」
「……っ!!、」
最初にその沈黙を破ったのは、その男性。
先程までの恐怖がまだ残っているのか、私は呼ばれただけでビクッと身体が強張ってしまった。
(あ‥‥‥助けてくれたのに失礼なこと‥‥)
助けてくれた人に対して失礼だとは分かっているのに、身体が震えて力が入らない。
少しでも気を抜けば、すぐにその場に倒れそうだ。
震えながら私が下を俯いていると
不意に、ふわりと頭の上に優しい感触が伝った。
「大丈夫だよ。あいつ等はもう居ない。安心してよ」
私の気を落ち着かせようとしてくれているのか、優しく頭をなでてくれている。
男達を追い払う時に感じた悪寒が嘘のようで、逆にそのように感じてしまった自分が恨めしい。
「ッ‥‥‥ぁ、ありがとう‥‥ございま‥‥す」
彼の優しい言葉に安心したのか、私の頬をほろほろと雫が流れ落ちる。
「‥俺は臨也。君の名前は?」
「すず…です。」
「そっか、可愛い名前だね。、、好きなだけ泣けば良いからね」
「……っ、臨也、さ…」
ゆっくりとした優しい手つきで私の涙を拭う臨也さん。
……なぜだか彼に触れられると、段々と眠くなっていく。
そして
疲れが急激に来たかのように私は身体の力が抜け、臨也さんの腕の中で気を失った。
ただ、
意識を失くしたすずを見下ろす臨也は
先程とは似ても似つかない怪しい笑顔をしていた。