第4章 葉は緑、空は雨色
僕が夢主(妹)ちゃんに執着するのは…恋なのかはわからない。
だけど、見ていたいんだ…夢主(妹)ちゃんの笑顔。
入学式の日…一年生になんてなんの興味もなかったけど、ぞろぞろと校内に歩いていく一年生を屋上からぼーっと見てた。
ひとりの女の子が転んだ。
そんなの別に珍しいことじゃないし、そのコが大怪我したわけでもなかったんだけど…そのコに駆け寄ってきた女の子がいた。
転んだ時に散らばった鞄とその中身を丁寧に砂を掃って拾って、転んだ子の膝が擦りむいていることに気がつくと、自分のハンカチで傷を拭いてた。
まぁここまでは面倒見のいい子だなぁ…って特に何にも思わずぼーっと見てた。
そしたらそのコ、自分の鞄から赤チン取り出して、転んだコの膝に塗りだした。
今時…女子高生が赤チンて…
近藤さんも、僕が怪我をすると赤チンを塗ってくれたっけ…そんなことを思い出して、屋上で一人で笑っちゃったよ。
その赤チンのコは満面の笑みで転んだ子の膝に赤チンを塗ってた。
入学式が始まって、僕は新入生に三年代表で挨拶をすることになってたから、壇上に上がった。
探したのはさっきの赤チンのコ。
さっきは屋上からだったからよくわからなかったけど、よく見たら目がぱっちりしててとってもかわいいコだった。
壇上には僕しかいないんだから、当然…僕を見てるわけで、一瞬目を合わせてしまって、ドキリとしたのをまだ覚えてる。
変なの。女の子なんて、興味なかったのに。
彼女なんていらないし、ちょっと興味がわいたら、声をかければホイホイついてくる。
その日の帰り、夢主(姉)ちゃんといる赤チンのコを見つけて、妹だと言われた時は世界って狭いなぁ…なんて思ったな。
「お姉ちゃんのお友達さんなんですね!よろしくお願いします!」
元気よく、満面の笑顔でそう言われた時、僕は吸い込まれたんだ。
夢主(妹)ちゃんの笑顔が僕は好きみたい。