第11章 夏の終わりと蝉の声
あたりはもう薄暗くて、鈴虫の声が聞こえてる。
夏の終わりの風で、さらさらと波を作る足元の水溜りに映った僕は、多分世界で一番幸せな顔をしてる。
夢主(妹)ちゃんの唇に、さっきより少しだけ強く唇を重ねた。
唇を離せば、恥ずかしそうに頬を染めてる夢主(妹)ちゃんがいて…あったかくてくすぐったい気持ちでいっぱいになった。
だけど…だけどね?
「こんなもんじゃないから、覚悟しておいてね?」
夢主(妹)ちゃんの耳元に囁いてみれば、ボンって音がなるくらい赤くなって、
「沖田先輩!!」
って、頬を膨らませてる。
ああ、可愛い。
すっかり暗くなっちゃったけど、僕たちは手を繋いでゆっくりゆっくり歩いた。