第4章 葉は緑、空は雨色
四限をサボって、昼休みになって…いつもみたいに屋上で過ごす。
夢主(姉)ちゃんが泣いてた。
一君のことでも思い出しちゃったんだね。
…僕達って不器用だよね。素直になれない。
「僕達って…損だよね…いろいろ」
そんなことを口にしてみた。
夢主(姉)ちゃんは黙ってたけど、たぶん僕のコトバの意味は理解してくれたかな。
「総司は…冗談に聞こえるけどホントのことしか言わないよね。」
そんなことを言い出す夢主(姉)ちゃん。
こんな真面目な話あんまりしないから変な感じ。
「なのに全部嘘だと思われるよね…あはは」
とかなんとか言って笑ってる。
わかる人にだけわかってもらえればいいんだ。
夢主(妹)ちゃんにもわかってもらえる日が来るかな。
夢主(妹)ちゃんのこと傷つけたいわけじゃないんだ。
どうしたら伝えられるかわからないけど。
おかしいなあ。こんは風に誰かにわかってもらいたかったこと、あったっけ?
夢主(姉)ちゃんが先に教室に戻って、また僕は屋上で一人ぼーっとする。
そろそろ戻ろうと開けた屋上のドア。
目の前には夢主(妹)ちゃんの姿。
なにやらバラバラ落としてる。
調理実習で作ったカップケーキをそのまま全部抱えてきて…全部僕にくれるらしい。
これは…やばいかも。嬉しい。
夢主(妹)ちゃんは涙目で下をむいてる。
僕は、伝わって欲しいな…と思いながら、いつもよりゆっくり言葉を紡いだ。
夢主(妹)ちゃんがうえーんって泣き出して、やっぱり夢主(妹)ちゃんはかわいいと改めて思った。
こうなると…もっと僕の言葉で真っ赤になって欲しいだなんて思ってきて、いつもと同じように夢主(妹)ちゃんに話しかける。
ああ、これがいけないのか。からかってないんだよ…でも僕は、夢主(妹)ちゃんを真っ赤にして困らせたいみたい。
まんまと真っ赤になった夢主(妹)ちゃんの手を取って階段を下りる。
「こ、ここまででっ!ではっ」
三年のフロアまで階段を下りたところで、真っ赤な夢主(妹)ちゃんは速度をあげて階段を下りていった。
また怒ってもいいや。
僕は君が好き。
だから、これからもいつものように伝えていくよ。
僕は今とっても悪い顔をしてるかもしれない…そう思いながら教室に戻った。