• テキストサイズ

【薄桜鬼 学パロ】サクラチップス

第4章 葉は緑、空は雨色


私は追いうちをかけた。

「一君に会いたかったよ?」

近づいて、目を覗きこんで、両腕をちょこっとつかむ。

一君は泣きそうな顔をして、目をそらす。

泣きたいのは私なんだけどな…

そのまま私は動かなかった。

しばらくしてから、一君は目をつむってゆっくり息をはいて…

そして私の目を見て、

「夢主(姉)…話がある。」

と…言ってきた。

ドクン、と心臓が鳴る。

来たんだ…その時が…

「夢主(姉)…」

待って…その先は言わないで…

思い通りになんてさせてあげないんだから…

私はおもいきり背伸びをして一君の口を塞いだ。

ちゅって短いキスをして…

「バイバイ一君。」

一君は瞬間、目を見開いたけど…

「別れよう?もう一君なんて好きじゃないから安心して?」

って、意地悪くクスクスと笑って…くるりと回れ右をして…ひらひらと手を振りながら…

ゆっくり歩いて屋上の出口へ。

まだ泣いちゃだめ。

背中に感じる一君の気配。

振り返っちゃだめ。

泣くな泣くな。

階段をゆっくり下りて曲がったところで、全速力で階段を下へ…

どこに逃げよう…

思い浮かぶ場所はひとつ。

…体育準備室。


目的地に着いて…ドアをガラガラガラと乱暴に開ければ、

少し驚いた原田先生がいた。

そこまで我慢してた涙があふれて来る。
/ 255ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp