第2章 サクラ散る頃
少し走ったところで、
「……っつーか…お前そんなかっこじゃどこにもいけねぇか…」
と、ぽつり。
しまった…何も考えずにそのまま出てきたから、ショートパンツにキャミとパーカー…という、ザ・部屋着で、外に出れる格好じゃなかった…
「…しょうがねぇ」
そう言いながらも、とくに私に何か言うわけでもなく、運転をしてる。
涙が落ち着いてきた私は、原田先生の方を見た。
「落ち着いたか?」
こくり、と頷いた。
「とりあえず…俺の家でいいか?」
もう一回こくり。
「………おい…少しは警戒しろよ。」
「…原田先生……何かするの?」
そう聞けば、
「人の女に手は出さねえよ。」
と、鼻で笑って言われた。
そういえばなんで私の家がわかったんだろ…素朴な疑問を投げかける。
住所録だよ、と言われた。ああそうか、私も先生の電話番号それで調べたんだった。
「先生すぐに電話切るから、見捨てられたかと思ったら…家に来るなんてびっくり」
ぽつり、と前を見たまま言うと、
「泣きながらてめぇの声が聞きてぇとか言ってる女に、会いに行かねぇ男がどこにいんだよ。」
そんな答えが返ってきた。
原田先生らしいな、とふふふと笑みがこぼれる。
「何笑ってんだよ?」
「先生かっこいいね。」
ふんっ、とまた鼻で笑われる。