第2章 サクラ散る頃
夢主(妹)が部屋に飛びこんできて、泣きながら私に抱きついてきた。
私が泣いてるもんだから、びっくりしたんだね。
ひとりぼっちな気分だったから、そんな夢主(妹)の行動がうれしかった。
さらに涙が出てくるけど、ありがとう、大丈夫だよ、って伝える。
スマホから着信を知らせる音が鳴った。
音に気がついて、抱きついてた夢主(妹)がそっと離れる。
…知らない番号
「誰だろ…」
心配そうな顔をした夢主(妹)に見守られながら、電話に出ることにした。
はい、と、その着信に応えると…
「俺だ。…外、出てこい。」
知ってる声がした。
「…原田先生?」
呟くようにそう言えば、夢主(妹)の目が丸くなる。
「そうだ。…いいから早く出てこい。」
何?外に出る?まさか…と思って窓から外を見た。
車に寄り掛かって、電話片手にタバコを吸ってる原田先生が見える。
「うわ…原田先生……なんでここに?」
一緒に窓の外を見た夢主(妹)がさらに目を丸くして驚いてる。
私は、さらにさらに涙が出てくる。
「……早く来いよ。」
驚いている夢主(妹)に、ちょっと出てくる、と告げて、部屋から飛びだした。
玄関を出ると、原田先生はタバコを携帯灰皿に押し付けながら、少し笑って、
「乗れよ。」
と、顎で車の方を指して、助手席のドアをあけてくれた。
原田先生の顔を見て、さらにさらにさらに涙が出てきた私は、ボロボロに泣きながら車に乗り込む。
先生はに車を走らせて、いまだポロポロ涙が止まらない私に何も言わなかった。