第2章 サクラ散る頃
席に座って、ポテトを食べる。目の前には沖田先輩。
舞い上がっていいはずなのに、さっきからのざわざわが邪魔してそうもいかない。
「夢主(妹)ちゃん、その悲しそうな顔の原因を僕に話して?」
沖田先輩が優しくそう言ってくれた。
どうやって話せばいいんだろう…私、今悲しそうな顔してるんだ…
「お姉ちゃん…昨日から元気がないんです。」
「……そう」
「さっき…お姉ちゃんは体育館に来てたんですね…」
「ちょっとだけだったよ。時間にしたら1分くらい。」
沖田先輩、いつ気がついたんだろう。私と話してたはずなのに。
そんな疑問が顔に出ていたみたいで…
「夢主(姉)ちゃんの気配はわかりやすいんだよ。」
と、いつもの意地悪な笑いを含んだ口調で教えてくれた。
沖田先輩は気配がわかるんだ…すごいなぁ。
そんなところにも感心してしまう。
「斎藤先輩が焦ってるように見えました…」
「夢主(姉)ちゃんが走り去ったからね…反射的に追いかけちゃったんだろうね。」
「………」
「千鶴ちゃんと一緒にいるとこ見ちゃったら、さすがに夢主(姉)ちゃんだって逃げたくもなるよ。」
!!
やっぱり…千鶴とのツーショットがまずかったんだ…
私には、斎藤先輩と千鶴が、おんなじ色に見える。
お姉ちゃんにもそう見えたのかな…
「夢主(姉)ちゃんのことも千鶴ちゃんのことも大切だと…困っちゃうよね、こんな状況。」
…なんでわかるの?沖田先輩。
目が熱くなって涙が溢れてきた。
「優しいね。夢主(妹)ちゃん。」
ふるふるふると首を横に振って否定をする。
いつも私に優しくしてくれるのはお姉ちゃんと千鶴で、私は優しいわけじゃない。
ただ、二人共大好きだから、二人共ハッピーでいてほしいだけ。
「辛いよね、夢主(妹)ちゃんはどっちも応援したいのに、どっちも応援できなくて。」
はい、と泣きながら答える。
ん?ってことは…沖田先輩は、千鶴の気持ち知ってるんだ…
「先輩…千鶴のこと気がついてるんですね…」
そう言えば、
「バレバレだよ。」
と、少し呆れた口調で返ってきた。