第2章 サクラ散る頃
「僕は夢主(妹)ちゃんみたいに優しくないから、一君と夢主(姉)ちゃんは、もう早く別れちゃえばいいのにって思うよ。」
え??
千鶴に厳しいかんじだったし、沖田先輩はお姉ちゃんと仲良しだから、てっきりお姉ちゃんを応援してるのかと思った。
「まぁ…一君が気がついてないんだと思うけど…。早く千鶴ちゃんとくっついちゃえばいいのに。ま、僕にはどうでもいいことだけどね。」
こんなことも言っている。
沖田先輩から見ても、二人はぴったりにみえるのだろうけど…
意外だな…お姉ちゃんの味方じゃないのか…
ん?早く別れればいい…ってことは、もしかしたら、沖田先輩はお姉ちゃんのことが好きなのかな?
なんかお姉ちゃんのことはなんでもわかってる風なかんじだし…
きっと私に優しくしてくれるのは、お姉ちゃんの妹だからだ…
そう思ったらさっきとは違う悲しみが出てきた。
「…夢主(妹)ちゃん、何か勘違いしてるね?」
って言われた気がするけど、なんだかもういろいろ悲しくて、耳に入らない。
頼んだハンバーガーも、食べたくなくて残してしまった。
そんな私に沖田先輩は、やれやれ、と言って、
「夢主(妹)ちゃん帰ろう?」
と、優しい声で言ってくれた。
沖田先輩はずるい。私はまんまと好きになってしまったというのに…お姉ちゃんにかなうわけない。
せっかく沖田先輩と二人きりの帰り道なのに、気分は重いまま…会話もせずに、家まで歩いた。
沖田先輩にお礼を言って、家に入る。
部屋まで行く途中…鼻水をすする音が聞こえた。
お姉ちゃん泣いてるんだ…
急いでお姉ちゃんの部屋へ。
部屋のドアを開ければ、涙をいっぱい流して泣いてるお姉ちゃんの姿があった。
私は駆け寄ってぎゅうっと抱きつく。
こんなお姉ちゃんは見たことなかった。
いつでも笑ってて、私が泣いていたらいつも泣き止むまで一緒にいてくれる。
私もそうしたい。どうしたらいいかわからないけど、とにかくお姉ちゃんにぎゅうううっと強く抱きついた。