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【薄桜鬼 学パロ】サクラチップス

第2章 サクラ散る頃


胸のあたりのざわざわがなくならないまま、練習を終えて、制服に着替える。

今日も沖田先輩が送ってくれるみたい。

すごくうれしいはずなのに、今はお姉ちゃんの顔が早く見たい。

「じゃあ帰ろう。」

みんなと別れて、沖田先輩と二人だけになる。

「夢主(妹)ちゃん…どうしたの?途中から、元気がなくなっちゃったね。」

うわぁ…やっぱり気がつかれてた。集中してなかったから怒られてもしょうがないよね…

「すみません。」

思わず声が小さくなる。

「怒らないよ。大丈夫。」

沖田先輩は優しい声だった。沖田先輩の顔を見上げれば、優しい笑顔を返してくれる。

その時、ピコっとLINEが届いた音がした。

沖田先輩に、ちょっと失礼します、と伝えて、スマホを見る。

お姉ちゃんからだった。

やっぱり…さっきの「追いかける」は、お姉ちゃんのことだったんだ…

「どうしたの?何かあったの?険しい顔をしてるけど。」

LINE画面を見たままだった私に、沖田先輩は言う。

「いえ…お姉ちゃんからで…夕飯作ってないから適当にすませてって来てただけなんですけど…」

「ふーん…。ねえ、じゃあ僕とハンバーガー食べて帰ろうよ?」

沖田先輩とごはん!これまたうれしいはずなのに、お姉ちゃんのことが気になって素直に喜べない。

「あはは。夢主(妹)ちゃん…夢主(姉)ちゃんが気になって仕方ないって顔してるね。」

はい…と小さく答える。そして、意を決して聞く。

「あの…さっき、斎藤先輩が追いかけようとしてたのって…お姉ちゃんですよね?」

沖田先輩は、ふぅ…と小さく息をはいてから、そうだよ、と答えた。

きっと…斎藤先輩と千鶴が二人でいるとこ見ちゃったんだ…

ん?お姉ちゃんは千鶴の気持ち知らないはずなのに?

あれれ?

「夢主(妹)ちゃん、百面相みたいになってるよ?」

どうやら全部顔に出てたみたい。

「うん、やっぱり行こう。」

そう言って、沖田先輩は私の手首を掴んで、お店の方向に歩き出した。
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