第9章 西の鬼と東の大将
今夜は宿泊して、明日の朝帰宅をする。
当初は来る予定じゃなかった夢主(姉)から、
「夢主(妹)がどうしても行きたいって言うから、親に頼み込んで私も行くねー。」
なんて連絡を貰った時は、驚いたのと同時に浮き足立った。
合宿で会ってはいたが、そこまで一緒にいられたわけでもない。
盛ったガキみてえに、二人きりになれる瞬間をうかがってるんだが、なかなかそううまくはいかなかった。
弁当買いに行く口実出来て、あいつと少し時間が持てたが・・・そうなればもっと時間が欲しくなる。
夏休みとはいえ、外で会って誰かに目撃されちまうわけにもいかねえし、家・・・なんて呼んじまったら、俺の理性は崩壊するに決まってる。
「ほんとに大丈夫?みんな怪しんでないかな?」
「さあな」
近藤さんのおごりで、部員達と焼肉を食いに行く事になったんだが、無理やりな理由を付けて、夢主(姉)と二人で抜け出してきた。
夢主(姉)にその時間に友達に会いに行くと言わせて、俺が送迎をする・・・なんていう安易な理由だが、なんとかなるもんだ。
先に借りておいたレンタカーを停めた地下駐車場に着いて、久しぶりに夢主(姉)を隣に乗せる。
「嬉しいな。」
少し照れながらちらりとこっちを見てそういう夢主(姉)の唇に、触れるだけの軽いキスをした。
嬉しそうに唇を触ってはにかむ夢主(姉)は、
「もう一回して?」
と、上目遣いで言ってくるから、もう一度同じようにキスをする。
唇を離すと、ぐっと肩のあたりのTシャツを捕まれて、
「もうちょっと」
なんて言われれば、俺だって止められるはずがなかった。
軽く終わらせるはずが、いつの間にか夢主(姉)の顎を押さえて何度したかわからねえくらい夢主(姉)の唇を貪ってる。
「ん・・・はぁ」
無意識に舌を入れれば、夢主(姉)から更に煽るような声が漏れて、はっと我に返った。
これ以上はまずいと唇を離せば、名残惜しそうに夢主(姉)の目は俺の唇を追いかける。
そんな顔を見ちまったら…それ以上のことをしたくなっちまう。
そういえば…