第7章 横暴な要求
教室を見渡しても、それらしき人はいない。
マネージャー、もう一人?
みんなが、どこにいるの?と沖田先輩に注目する。
沖田先輩はまた大きく溜息をついて、教室のドアをガラガラガラと開けた。
「中に入りなよ夢主(姉)ちゃん。なんでそんな所にずっといるのさ?」
そこには、夢主(妹)ちゃんのお姉さん…夢主(姉)先輩がいた。
「え!?お姉ちゃん?!」
夢主(妹)ちゃんがすごく驚いてる。
夢主(妹)ちゃんも知らなかったんだ…
斎藤先輩は?
ちらりと恐る恐る斎藤先輩の方を見れば、無表情のまま。
斎藤先輩…どう思ってるんだろう…
沖田先輩は夢主(姉)先輩の腕をぐいっとひっぱって、教室の中に入れると、壇上までひっぱって行く。
「はいこれ、夢主(姉)ちゃん。合宿限定のマネージャー。」
「…夢主(姉)か。なんだ?総司に弱みでもにぎられたか?」
と、笑いながら言う土方先生に、
「おいおいおい。大丈夫かよ?」
目を丸くして驚く永倉先生、
「夢主(姉)、よろしくな。」
優しくそう言う原田先生・・・
先生達は夢主(姉)先輩の登場に、なんだかはしゃいでるようにも見えた。
部員達もざわめき出す。
私はあまりの衝撃に思考がストップしてしまって、ぼーっとしてしまった。
「千鶴ちゃん?」
そんな時、沖田先輩に名前を呼ばれて、
「は、はいっ」
何故か声が裏返ってしまう。
「ってことだからよろしくね?」
そう言って夢主(姉)先輩に「ほら、みんなに挨拶して」と保護者のように促してる。
「まじで聞いてないんだけど…」
夢主(妹)ちゃんがなんだか複雑な顔をしてる。
部員のみなさんは夢主(妹)ちゃんのお姉さんと知らない人もいて、
「部長の彼女だよな?あの人」
なんて、夢主(妹)ちゃんに聞いたりしてる。
沖田先輩は、なんで夢主(姉)先輩を連れて来たんだろう?夢主(妹)ちゃんのお姉ちゃんだから?なのかな。
「3年の苗字夢主(姉)です。よろしくお願いします。」
夢主(姉)先輩の挨拶の後、沖田先輩や井上先生が何か話をしてるけど・・・なんだか頭に入らない。