第5章 夏の暑さと恋模様
そうだ、合宿。楽しみだなぁ。そんなことを思いながら、千鶴と合宿先はどんなだろうね、とか、うきうき話をしてると、
「あっ!もうこんな時間!夢主(妹)ちゃんごめんね。私体育館に行くね!」
千鶴はパタパタと帰りの支度を始めた。
「自主練って来てる人いるんだね~。ってか千鶴わざわざ付き合わなくていいんじゃないの?」
鞄にペンケースをしまっている千鶴の背中に声をかければ、なんだか顔を赤くしてもじもじしてる。
あ…なるほど。
沖田先輩みたいな意地悪なにやけ顔を造りながら、私は千鶴に近づいて、ふ~ん、と言うと、
「もう!夢主(妹)ちゃん!」
と、千鶴は顔を赤くしたまま頬を膨らませた。
かわいいなぁもう。
そんなことをしているとざわざわざわざわと、なんだか騒がしい。
騒がしさの元となってる教室の出入口をちらりと見れば…
「沖田先輩!?」
ひらひらと私に手を振る沖田先輩がいた。
「夢主(妹)ちゃん一緒に帰ろう?」
にこにこと、まわりに騒がれてるのを気にもせずにそんなことを言ってる。
「また苗字さんご指名かぁ。」
「いいな~苗字さん。」
そんな声が聞こえる。
一時期はそんな私に対していろいろ言ってくる人もいたけれど・・・
ここ最近は沖田先輩が教室に来た時点で、みんな私を呼んでくれるようになった。
「ふふふ。夢主(妹)ちゃんまたね!」
ニヤニヤをそっくりそのまま返されて、今度は私が真っ赤になりながら「もう!千鶴!」と言う番だった。