第5章 夏の暑さと恋模様
「――よし!そこまで!」
ふぅ…まあ…できたかな。
最後のあの問題の数式だけ正解が知りたいなぁ…合ってるかな?
「ねえねえ苗字さん、最後の問題わかった?」
「ん~…解いたけど、なんとなく不安かなぁ」
「まじで?あれ解けたの?」
「あたし全然わかんなかったよ~。」
テストが終わると毎回テスト内容について、席の近い子達とわいわいと話す。
最近はクラスの女子とも男子とも仲良しになってきた。
「夢主(妹)ちゃん、最後の問題解けたんだね。私は解けなかったよ。」
クラスメイトからの絡みがが少し落ち着いた頃、千鶴が私の席まで来てくれた。
「ん~…千鶴が永倉先生は最後に応用出すって教えてくれたからなんとかなったけど…難しかったね~。」
そう言うと、千鶴は少し頬を赤くしながら、斎藤先輩が教えてくれて…と、小さく言って、
「なのに、私ったら結局全然できなかった」
と、落ち込んでる。
斎藤先輩かぁ・・・
なんであんな頭が堅そうな人が好きなのか私にはさっぱりわからないけど、千鶴は斎藤先輩の「さ」の字が出ようものなら顔を赤くしてしまうほど好きらしい。
部活でしか関わりはないけれど・・・
私の目に映る斎藤先輩は、おねえちゃんと付き合ってたということが事実であったことすら疑いたくなるような・・・若さが足りないというか、真面目きわまりない人だった。
お姉ちゃんも千鶴も意味わかんない・・・あ、斎藤先輩にシツレイかな。ゴメンナサイ。
「明日でテスト終わりだね。明日は古典と英語と・・・」
千鶴はスケジュール帳をチェックしながらそう言って、
「明日の部活で合宿説明会があるんだよね?合宿、楽しみだね。」
と、微笑んだ。