第5章 夏の暑さと恋模様
昼休み、提出物を集めて体育準備室に行く。
めんどくさいな。
夢主(姉)ちゃんにでも頼めばよかった。
体育準備室に入ると、クラスの女子が、さっきの実習で作ったものを左之先生に渡してる。
机の上は結構な量のお菓子達。
僕を見た左之先生は、助かったとばかりに、
「おう総司。みんなありがとうな。ちょっと総司と話すことあるから出てくれるか?」
女子達を追い払う。
みんなが出て行った後、ふぅ、と一息ついて、
「助かった」
って僕を見て苦笑してる。
机の上の贈り物達の中に、夢主(姉)ちゃんのさつま揚げはなかった。
「甘いもんあんまり食わないからな~…総司食うか?」
「いらないなら受け取らなければいいのに。」
「そうもいかねえだろ…。」
わかってないなぁ。
「誰かさんが左之先生の為に、甘くないやつ作ってましたよ。」
僕がそう言うと、左之先生はぴくりと眉毛を動かす。
さっき女の子達がまだいた頃、体育準備室の外に確かに夢主(姉)ちゃんの気配があったんだけど。
きっとあんなに女の子にかこまれてる左之先生の姿見たら、また逃げちゃったんだろうなぁ。
「………」
あ~あ。
なんか考えこんじゃって。
左之先生もわかりやすい。
「ま、期待しない方がいいですよ。夢主(姉)ちゃん、ひねくれてるし。」
夢主(姉)ちゃんの名前を出したことに一瞬驚いたみたいだけど、
「おめぇに言われたくねえだろ」
と、笑って返された。
今頃夢主(姉)ちゃんはいじけてるだろうな…そう思いながら体育準備室を出た僕は、もうひとつ寄るところがある。