第5章 夏の暑さと恋模様
「ねぇ沖田先輩だ~」
「やっぱかっこいい」
ざわざわといろいろ言われてるけど全部無視。
教室を覗いて、夢主(妹)ちゃんの姿を見つけると、ひらひらと手をふった。
驚いた顔して真っ赤になってる夢主(妹)ちゃん。
予想通りの反応に僕は満足。
「沖田先輩どうしたんですか?」
教室から出てきた夢主(妹)ちゃんに、僕は包みを渡した。
「この前のお礼。あ。僕、調理なんてできないから見た目とか味とか保障しないけど…まぁ受け取ってよ。」
夢主(妹)ちゃんに渡したのは、チョコレートを溶かして型に入れただけのもの。
だからまずくはないはず。
調理実習なんてめんどくさいから簡単なものを…と思ってただけだったけど、夢主(姉)ちゃんの様子見て、夢主(妹)ちゃんのことを考えたら、僕もあげたくなっちゃった。
「え?え?」
突然なことに、なんだか混乱してるみたいだけど。
そんな反応も可愛くて。
「ん~…夢主(妹)ちゃんに食べて欲しいと思ってさ。」
そう言えば…ほら、また真っ赤になって、ありがとうございますって満面の笑みを見せてくれた。
こういうのも悪くないなって思いながら一年生のフロアを出る。
明日からは期末テスト。テスト中は部活はお休みだから、夢主(妹)ちゃんと一緒に帰れないな…迎えにきちゃおうかな、なんて考えながら教室に戻った。