第5章 夏の暑さと恋模様
あともう一つ…
「あとねぇ…合宿先は食事が自炊なんだ。洗濯もあるし…雪村君ひとりじゃ大変だろう。私も手伝うが…何人かマネージャーを増やすのはどうだい?」
マネージャー…二年生の時に一度、僕のことを好きだと言ってた女の子がマネージャーとして入部してきたことがあったけど…散々だった。
千鶴ちゃんがマネージャー希望と聞いた時は、正直いらないって思ったけど…千鶴ちゃんはよく働いてくれてる。
だからってマネージャーを増やすのは抵抗あるなぁ…
そんなことを思って、廊下を歩いてると、
「総司」
土方先生に呼ばれた。
どうしたんです?と返せば、マネージャーの件はどうなった、と聞かれた。
「…まぁお前が乗り気じゃねぇのはわかるんだけどよ。もう7月になっちまったし、そろそろ決めねぇとな。」
わかってますよ、と言って、
「土方先生が千鶴ちゃんと一緒にご飯作ってくれたらいいんですよ」
「まあ当番にしてもいいんだがな。」
土方先生は苦笑する。
「お前が声かけりゃ、合宿中だけでも来てくれる奴らいるだろ?」
「あ~あ。これだから、タラシは。」
なんだとてめぇ、と土方先生の眉間にシワが寄る。まったく…教師がそんなこと言っていいのかなぁ、と思いたくなる。
「つっても、稽古中騒がれても困るしな。ま~…いざとなったら当番制にすりゃあいい。」
土方先生と別れて教室へ向かう。
そうは言ってもなぁ…。
稽古に集中したいから、当番制も難しいだろうし……。
千鶴ちゃん一人にいろいろ任せるのもさすがにかわいそうだと思う。
でも、前みたいなマネージャーだったら、結局千鶴ちゃんに負担がかかりそう。
困ったなぁ…と考えを巡らせながら席に着く。