第2章 裏表チェンジャーⅡ
局長室から出た二人は
夕方の巡回にでも行こうという事になって
屯所の門へと歩き出す。
局長室から門前に続く廊下の途中には隊舎寮があり、
一人部屋から少人数部屋まで個室が設けられている。
なのでこの廊下は真衣が通る時のみ
真選組屯所の中でもっとも危険なゾーンとなる。
巣食うハイエナ達が彼女を狙っている
(真衣をこの場所に近付けるのは危険だ。)
山崎は注意しながら内側の廊下を歩いた。
「退君、疲れてないですか?」
「ん?へーきへーきっ。こんなの朝飯前だよ。」
「でも...巡回も昼に行ってたんですよね?」
「そうだけど、町の安全を見回るのは大事だよ。
それに真衣も根詰めてたみたいだし、
散歩がてら外の空気吸うと気分も晴れるよ。」
辺りに気を配りながらも真衣の言葉は聞き逃さない。
楽しく団欒しながら歩いていると、隊舎を抜けるまでもう直ぐだ。
と、その時、真横の襖が開いた。
「何でィ、こんな所でどうしたんで?」
沖田総悟がアイマスクを首からさげて出てきた。
「ぁ、沖田さん。今退君と巡回に行くとこなんです。」
「そうかィ、一人で大変そうなもんで。」
「俺いるだろぉォオオ!!」
自分を差し置いて真衣にはなしかける沖田に対し
山崎は精一杯のアピール且、つっこみをした。
「俺を差し置いて昼間っからイチャつくたァ
指導不覚悟だぜィ?山崎。」
「ちょッ、何で俺限定なんですかァァッ!?」
「地味のくせに存在感ありすぎでさァ」
「酷ッ!俺だって必死に生きてるよ!!
存在してるんだから存在感あって良いじゃん!!」
沖田が山崎にちょっかいを掛けるのは時折見かける光景で
真衣はこれが沖田のスキンシップなのだと思い
そのやり取りに口角を尖らせ笑いを零す。
「二人は仲が良いんですね。」
「「...え。」」
一瞬、否定の意味を込めて同時に声を発したが
ふわりと柔らかく微笑む彼女に山崎が見惚れていると
沖田は何か良からぬ事を思いついたように
不適な笑みを浮かべ行動を起こした。
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