第2章 裏表チェンジャーⅡ
「ぉ、沖田さんっ!!」
まだそんなに離れていたわけでもないが
真衣は必要以上に大きな声で呼び止めていた。
「...何でさァ?」
数秒置いてから沖田は振り向き返事をした。
「あの、良かったら沖田さんと退君で巡回行くのはどうでしょう?」
「.....ぇ!?」
山崎には思い付きもしなかった一言。
俺と沖田隊長で巡回...何故?why!?
真衣とだから一日に二回でも行きたいと思ったけど
こんなドSと行く位なら一人で見回った方がまだマシだ!
沖田は動揺してる山崎に向かい一瞬ニヤリと薄ら笑うと
さらに追い討ちをかけた。
「いやでも、山崎に悪いでさァ、真衣と巡回行くの
楽しみにしてたみたいだしなァ。」
「ぇ、そうなんですか?」
「えっと...まぁ、真衣にも江戸の町を歩いて
巡回路を覚えて貰わないと、ね。」
「ぁ、そうですね。早く一人前にならないとですよね。」
山崎が瞬時に出した言い訳もなかなか真っ当な意見で
真衣を頷かせる事が出来た。
「じゃぁ、三人で行きましょう!」
「さん...にん...?」
「はい!退君と沖田さんと私で行けば問題ないですよね!」
「あぁ...で、でも沖田隊長も仕事がある...よね?」
山崎はこのまま沖田が引き下がってくれるのを全神経を込め願った
「いや、実は丁度やる事も終って暇だったんでさァ。」
「ホントですか!良かった、じゃぁ三人で仲良く行きましょう!」
山崎の願いも無残に散って、沖田の手により見事に消え去った。
真衣の楽しそうな笑顔見ると否定も出来なくなり
山崎はがっくりと肩を落として「そうだね」とつぶやいた。
何は共あれ、真衣を囲う様に並んだ三人は江戸の町
歌舞伎町へ行こうとそのまま屯所出口へ向かった。