第1章 裏表チェンジャーⅠ
あ真衣の部屋の前に着くと真衣は戸を開け
どうぞ。と山崎に声を掛ける。
続いて中に入るなり山崎は自分の目を疑った。
机の上の書類を見るとかなりの両が置いてあったのだ。
「え?こんなにあったの?」
昨日片付けてた分の倍はある。
山崎はその量に驚き資料の山を指差した。
「ぁ、今日昼前に局長が間に合いそうにないからって」
つまり自分の仕事を真衣に押し付けた訳だ。
今は夕方。
て事は俺が巡回へ行ってる間に
部屋にこもって片付けたのか。
「これだけの書類を全部一人でやったの?この短時間で?」
「はい、でもそんなに難しい書類は
なかったのですぐ済みました」
真衣は気にしてない様子でにこりと笑っているが
その顔を見ると山崎は局長に一言申したい気分になった
「待っててくれれば手伝ったのに」
山崎がそう呟くと真衣は目を大きくして
両手をぶんぶん振った
「そんな、昨日だって手伝って貰ったのに、また頼んだら
退君の休む時間がなくなっちゃいますよ!」
そんな顔して俺の心配してくれるなんて
本当可愛いなぁ、俺は休みより
真衣といた方がずっと気が休まるから良いのに。
「真衣の頼みなら何でもきくよ」
「ぁ、ありがとう......です」
山崎が優しい声をして言うと途端に真衣は頬を染めた
「は...早く持って行こうか」
真衣の反応を見るなり山崎は照れて、話を反らした。
今良いとこだったのに!
チクショー何で俺はこうなんだ
そんな事を思いながら机の資料を持ちあげると
真衣は慌てて山崎の隊服を摘まんだ
「ゎ、私も持ちますよっ!」
「女の子に荷物持たせる訳にはいかないよ、
それにそこまで重くないから大丈夫だよ」
「でも、私の仕事ですし...」
「うーん..じゃあこれだけお願い」
そう言って真衣の手に一番少ない束になった紙を渡す
真衣は不服そうにしながらもそれだけ受け取って
山崎の隣に着いて局長室へ向かった。