第1章 裏表チェンジャーⅠ
丁度廊下の曲がり門だった為
近づくまで死角になっていて気付かなかった
「何で旦那が居るんですか?」
山崎は銀時を見付けるなり真衣の隣を独占した
「んだよジミーか、面倒な用事だよ」
「何かあったんですか?」
「何もねぇのに来るかよ。
お宅のゴリラのしつけについてな
新八にまで言われたんで
ちと、飼い主に文句たれに来たんだよ」
あぁ、局長がお妙さんをストーカーしてたんだ
てことは旦那の言う"飼い主"ってのは副長のことか。
「めんどくせぇからゴリラ檻で飼えよ」
銀時は眉間に皺を寄せて天然パーマの頭をくしゃくしゃと掻く
「じゃあ真衣には用事じゃないんですね?」
「あぁ、道がわかんなくてな
丁度いいタイミングで歩いてたから聞いてただけだ」
それを聞いて山崎は真衣が狙われていない事を
確認すると、一安心の笑顔を見せる
「そうでしたか。じゃあ次からは真衣じゃなく
他の隊士に聞いて下さい」
山崎は一言そう伝えると真衣の手を掴み
失礼しましたと銀時に軽く一礼をし
そのまま真衣を連れて立ち去った。
「反抗期?」
銀時は死んだ魚の様な目をして二人の背中を見て呟いたが
山崎の歩幅は広くそして早く
手を引かれている真衣が小走り気味に
パタパタと後ろを付いてく姿が見えただけだった。
その後姿に向かい一言、青臭いと笑いながら
銀時は先程真衣から聞いた局長室への道を歩き出した。
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