NONFICTION【家庭教師ヒットマンREBORN!】
第11章 雲雀恭弥を訪ねて
「皆、行く場所がなくてここへ来る。…けどね、アンタと皆は違う」
私は俯いた顔をあげた
「皆何かが欲しくてここへ働きに来てんだ。アンタになにか目的はあんのかい?アタシ達店にとって、お客にとって利益があんのかい?…それが見つからない限りアンタは一生グゥの金のつてさね」
胸を貫かれたような気分だった
みんなにあって私にないもの
それを突きつけられて私は何も言えなくなっている
…じぃじは恩人だ
だけどあの人と同じだ
『……どうしたらいい』
「は?」
『私が…欲しいものを見つけるために…スーチェンさんの利益になるために……どうしたらいい?』
今度は彼女の真っ直ぐ見据えて
「ふっ…その目、忘れんじゃないよ」
まだ8歳程にも関わらず風俗に売られた娘、
その娘が“人”になろうともがき出した
「いいかい叶風。これからアンタはお前の姉さん達のように女を磨くんだ。アタシが教えてやる。そんで早く仕事に出ることだ。そうすればお客さんに外のことを聞ける。そうやって知ればいい」
『“知ることは、得ること”…前にじぃじが言ってました』
「あのクソジジイの事は忘れな。アンタは“自分”を見つけることだ」
今の私が空っぽかのようだ
いや、空っぽなのか
この髪も、風の力も
人から見たらそれは“人”ではない
この異形を取ったら私は普通の人間になれるのだろうか
どちらにせよ、今は何も無い…空っぽなのだ
これから埋めていけばいい
それから数年後叶風は女になった
「叶風!お客だよ」
「また指名率上がったねぇ」
カウンターからご指名の合図
「全く、この頃人気やね〜」
『姉さん達のお陰ですよ』
緩く、口元に円を描きふっと笑ってみせる
この店で一番と言っていいほど叶風は人気だった
それは男女問わず見せる、汚れのない笑
美しい顔立ちだけでなく体までもが客を魅了する
そうして今日も叶風は女を売っていった