NONFICTION【家庭教師ヒットマンREBORN!】
第11章 雲雀恭弥を訪ねて
そうしては私はじぃじの元を離れた
否、“売られた”のだ
そんなことも知らずに私は──…
「叶風!次はこっちだよ!!」
『はいっ』
「叶風!こっちも手伝いな!」
『はい、ただいまっ』
私は売られたそこで働く、ということを知った
雑巾がけの水が冷たいこと
皆自分のために頑張っていること
お金が大好きだってこと
そして…
このお店が男の人と寝るお店だということ
ここの女将、スーチェンさんに教えて貰った。このお店のこと、世の中の男の人と女の人のこと…そして将来私もそういう仕事をすること
『あの…女将』
「叶風かい。どうしたんだい?」
ちらっとこちらを見てまたタバコを吸う
『…じぃじは……いつまで働けばじぃじは…』
俯きながら恐る恐る、そのことを口にした
「アンタ知らないのかい?」
女将は目を丸くした
「アンタはあの爺さんにここへ売られたんだよ」
『え…』
このお店のシステムを理解していたから自分がまさにそうなのだと告げられると、頭を鈍器で殴られたような感覚が襲いかかった
私は…じぃじに売られた…?
もう私、いらなくなった…?
また…あの人たちみたいに……
『…同じだ』
みんなみんな同じなんだ
私を捨てたあの人やじぃじ
女将だって…
『皆……同じだ』
俯いて呟く私を見て、女将が言った
「ここに来る子は皆アンタと同じだよ」