NONFICTION【家庭教師ヒットマンREBORN!】
第11章 雲雀恭弥を訪ねて
『じぃじ!お野菜とってきたよ』
にぱっと目を細め、口元を緩める
畑でとってきた野菜たちを籠に入れ、それをじぃじに差し出す
そうするといつも「ありがとう」と言って褒めてくれる
しかし、今日は違った
「……叶風今日は街へ行こうか」
『街?』
叶風という名前はじぃじがつけてくれた
拾われてから4年ほど一緒にいるが街へかけたことは一度もなかった
『叶風行くっ!!』
だが、私はそのことになんの疑いも持たず期待に満ちた目でじぃじを見つめた
じぃじはいつも笑ってくれる
私に“笑顔”を教えてくれた
じぃじはなんでも知ってる
私を“人”にしてくれたのだから
お外へ出る時はいつも手を繋いでくれる
けれど今日は繋いでくれなかった
じぃじ、暗い顔してた
暗い顔は悲しい時の顔
じぃじ悲しい?
私が心配そうに見上げると、何も言わずに頭を撫でてくれた
「さぁ、ここじゃよ」
期待していた街は黒く沈んでいた
どこの建物も明かりはついておらず、人もいない
けれど、人が来た痕跡は沢山ある
でも今はいない?
『じぃじ、ここどこ?』
「…ついておいで」
じぃじの背をおって付いて行く
じぃじどんどん奥へ行く
道がだんだん狭く、暗くなって行く…
……なんかイヤ
じぃじなんか変…
ガチャ
「スーチェンいるか」
じぃじが壁についた扉を開けて叫ぶ
すぐにドタドタして人が来た
「あぁ、グゥかい。…その子だね?」
「あぁ、確かに連れてきたからな」
「わかってるよ」
出たのは女の人…顔に濃い色をつけてる
あの人もしてた…
確かこれは“化粧”っていうんだ
女の人が私をジロジロ見ていると私の背中をじぃじが押した
「叶風、今日からここで働くんだ。働くことを前に教えたじゃろ?」
『うん、お金稼いでじぃじ助ける』
「そうじゃよ。じぃじは今困っとるんじゃ。だからお前がここで働いてじぃじを助けておくれ」
『わかった!叶風頑張る』
じぃじが困るのイヤ
叶風じぃじ助ける!