NONFICTION【家庭教師ヒットマンREBORN!】
第11章 雲雀恭弥を訪ねて
スクアーロside
『そりゃあ、そうだよね…生まれたばかりの赤ちゃんが風を操れる“バケモノ”なんだもの』
まただ
またコイツは…悲しそうな顔をしやがる
自分のことを話せばいつもこんな顔をする
俺はそんなの、見たくねぇのによ…
「……ヴァリアーにいればそんなもん、わかんねぇな」
『え?』
だってそうだろぉ?
「俺たちみんな“バケモノ”みてぇなもんだろぉ?」
俯いた叶風の顔を覗き込んで、珍しく自ら笑ってみせた
『……確かに。』
ふっ、と一瞬笑ったかと思えば、すぐに口元を下げた
『でも、やっぱり私は生まれつきのバケモノなんだよ。………私、親に捨てられたって言ったでしょ?どこに捨てられたと思う?』
「…路地かどっかかぁ?」
俺の回答を聞いて予想通りと言わんばかりに眉を下げた
『正解はね、、……海だよ』
「はぁ?」
思わず間抜けな声を出してしまった
『身動きが出来ないように…身体を縛って、、そして崖から突き落とした』
私が風の力を使わないようにね
また悲しそうな顔で笑う
『その時はまだ力も開花してなかったし、その存在を薄々感じてるくらいだった。……けど』
叶風は次の言葉を躊躇わせた
言いにくそうに、下を見る
『海に落ちた時…何が起きたのかわからなかった、、パニックだったから。ぶつかる岩が痛くて、海水が何度も肺に入って……息ができなくて…っ、、、私、溺れて意識を失ったの。けどそれだけじゃなかった…』
「何が…あったんだぁ?」
『私……そのまま中国まで飛んだの』
俺はその言葉を丸呑みにはできなかった
当然だろう
「飛んだだァ?」
俺は再度聞き直す
『うん、飛んだの。正確には“運ばれた”だけど』
ますますわからねぇ
『意識を失ったからか、制御の効かない風の力は枷を失ったように機能し出した。……それは、まるで私を守る防衛反応みたいに…』
「それで日本から中国まで風に運ばれたってのかぁ!?」
『私も信じられなかったけど、目が覚めたらそこは中国だったんだよ』