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NONFICTION【家庭教師ヒットマンREBORN!】

第12章 大切なもの





「わしは厳密に言えば、叶風が持っていた鏡に宿る付喪神。風の使者に仕えるものじゃ。それを叶風が匣兵器なんぞにしてしまいおっ」

『あーもう!もうその話は分かったって。』


抱き上げた匤を脇から覗き込んで、その口煩いセリフを遮ってやる。案の定匤は不服そうな顔をしてそっぽを向いた。


『匤、カンビアーレ1°』


その丸いフォルムは炎を灯した尻尾によって、一周円を書くように隠される。あっという間に黒の艶々した毛並みは黒光りするアーチェリーに変わる。


不服な顔をしながらも、ちゃんと変身してくれた。いいコいいコ


『1°はあらゆる武器になれる。但しなれるのは一つだけ』


掌の上で様々な武器に変化させていく。匤が実態を持てるのはたった1つ。自身の体のみだ

だから拳銃になることが出来ても、実弾を作ることは出来ない。弓になれても矢にはなれない。自身の体の一部を切り離して飛ばせないように、匤の化ける武器も同じような仕組みなのだ



『こんなのも出来る』


次に現れた姿は烏。基本的に匤が返信するものは黒い


「狐以外にもなれるわけか」

『そう。これも大抵のアニマルになることが出来る』


部屋をぐるりと一周飛行する匤の翼の先には、匣兵器の象徴とも言える、炎が灯っている



『他には様々な植物とか、あとは相手に幻を見せたりだとかもできる』



片腕を突き出せば、匤が私の腕に向かって着地しようと足を出す。その細い両足の鋭い爪からニュルと緑色の細い蔦が伸びて、叶風の腕に絡みつく

あっという間に叶風の腕には蔓が巻きついて幾つもの薄紫色の花が咲いた



「…………!」



目の前の型破りな匣兵器に、スクアーロは言葉を失っていた。



武器にも、生き物にもなれるなんて聞いたことがない。クソボスから聞いていた風使いの情報には記されていなかった

匤の存在はまるでイレギュラー。この世の理というものがあるのならばそれに反したもの。まだまだ風の使者は未知ということか

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