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NONFICTION【家庭教師ヒットマンREBORN!】

第12章 大切なもの




「契約を結べば、主の命が尽きるまで守ろう。だが、その代わり主とあらゆるものを共有し、代金として…そうじゃな、炎を貰おう」

『…わかった。結ぼう』


ぴょこんと立ち上がって、私に手を出せと促す


『手?』


首を傾げながら袖をまくって、何となく左腕を出す


「契約の印じゃ」

かぷりと手首の辺りに噛み付いた

すると、噛まれた箇所から血が溢れ、肌を伝い落ちたかとと思うと、交差してまた戻ってきた


『えっ、なにこれっ、血が…』

「印を刻んどる。主が死ねばこれも消える」

螺旋して交差し、噛まれた箇所を中心に円をかく


それはすぐに止み、手首から肘にかけて印がついた


『“消えることのない印”……』

それは私の戒めの言葉


この身に刻まれた絶望の証…


「主のは肉体がある限り消えんな…」

『そっか、共有しちゃうんだった。ごめん。あまり考えないようにする』

脳内で繰り返しそうになっていた "あの夜" のことを、伝えまいとして他のことを考えようとする



『ねぇ、喋り方どうにかならないの?』

「ダメか?」

『ジジくさい。せっかく姿は可愛いのに』


第一狐が喋っているというこの絵面がだいぶアウトな気がする


「むぅ…ならばこれでどうだ?」

匡を煙が囲んで、最初姿を現した時のように、煙に映る影が変わっていく



『……っ!』


「はしたないぞ、そんなに口を開けて」


煙の中から出てきたのは、紛れもない《人間》


狐の姿と変わらぬ、目元の赤いアイラインと金色の瞳


私よりも大きな身長に、和服の…これは神主?の姿。長い黒髪を垂らしている


あれ、でもなんか見たことあるような……


『あっ!!』

「主の中に残る者の姿を借りてみたのだが…」


髪が黒くて気づかなかったけど、これは紛れもない、スクアーロの姿だ!


『わーっ!すごい、隊長の黒髪に和服なんて、滅多に見れるもんじゃない!』

「そうか?良いぞもっと見るがいい!」

私が喜んだのが共有されたか、匡は得意げに胸を張る


ん…?待てよ、今コイツなんて言った


聞き間違えでなければ、「主の中に残る者の姿を借りた」と、そういったはずだ


私の中に残る者の姿が…スクアーロ?


『え、っちょ、まっ…待てよ待てよ待てよ。私そんなにアイツのこと考えた…っ!?』
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