NONFICTION【家庭教師ヒットマンREBORN!】
第12章 大切なもの
「う"おぉおい!どうなってんだこれは!」
「煙が切れねぇっ!?」
この声は…スクアーロに山本くん!
「この煙は結界みたいなもんじゃ、そちら側からは入れぬ」
『こっちの声はあっちに聞こえてるの?』
「聞こえぬ。声だけでも届けてやろうか?」
『うん、そうしてくれると助かる。隊長うるさいから』
黒狐がお尻をついて座ると、前足を合わせて眉間にシワを寄せる
「よいぞ」
『おーい!聞こえるー?』
私は煙の近くまで行って、先程まで声がしていた方向に呼びかけてみる
「う"お"ぉい!叶風!そっちは大丈夫なのかぁ!」
『うん、大丈夫ー!』
煙があるせいでお互い、いつもより声を張り上げる。
『匣兵器を出してみたのー。そしたらこうなったー!』
「出られんのかぁ!?」
『多分、大丈夫ー』
そう言ったあとで後ろを振り返る
すると再び溜息をつく狐。お腹、出てますよ
「出とらんわ!わしはいつでもどこでもスマートじゃ」
『えっ、口に出してないんだけど』
「出さんでもわかる。ワシらはあらゆるものを共有する、言わば一心同体。お主のことなど生まれる前から知っとるわ」
『えっ、何それキモ』
「キモいとか言うなーっ!!」
「叶風さんー?一体誰と話してんだ?」
煙の向こうから呑気な声が聞こえて我に返る。
(そっか、聞こえてるんだった)
『ちょっと、アナタが喋れるってみんなに知れてもいいのっ?』
小声で狐に問いかける。
「別に構わんが、風使いを知る一部だけにしろ。あと早く名前を決めてくれ」
『私のが決めるの!?』
確かに狐だけじゃ呼びにくいし…
「おい、叶風!!」
スクアーロの大声にまたビックリする
『なっ何でもなーい!!』
反射的に答えて、後で問い詰められる覚悟を決めた
『まだまだわからないことは多いけど、一心同体なら仕方ないわな。名前、決めたよ。お前の名前は匡(キョウ)だ。』
「ダジャレか?」
『うるさい。ちょっとかけてみただけだわ』
冷やかしを入れるところはお互い似ている気がする。
「叶風。これは契約だ」
『契約?』
「わしを匣兵器とすることは昔で言う使い魔にすることと同じ。契約を結ばねばならない。」