【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《後編》
第4章 死神、シスターの代わりを。
【十四松】
そのあとは、不思議だった。
天地が逆さまになって、疾風を切り、蒼と青の世界が交互に転がって、
二回目の体験をした。
早い。林檎が樹から地べたに堕ちるみたいな。
近くに黄緑が通った。
黄緑は僕のおでこに優しくキスをすると、にこりと笑ってくれた。
そんな、作った笑みしか見せてくれないの?
そんな声も届かず、黄緑は緑になって、深緑からゆっくり黒になった。
黒は風に呑まれた。
その時察した。
黒が、背中を押してくれた。
ずっと端っこからの一歩が踏み出せず、拒んでいたその足を。
押してくれたんだ。
天界から魔界への入り口を、もう一度。
「ありがと…」
羽は何故か動かなかった。それ以前に、動かす気もなかった。
不思議な事に、飛ぶ為の羽根が動かず、堕天しているのか浮いているのか分からない。
この天地が分からない世界で一人。
「悪魔……」
綺麗だった。綺麗な悪魔だった。
真っ赤な血が、とてもよく似合ってる。
「迎えにきたよ…」
「うん。」
僕は、悪魔。
天界を捨てた。
罪人。