【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《後編》
第4章 死神、シスターの代わりを。
【カラ松】
自分は一体何がしたかったんだろうか。
死神のトド松に聞いてやっと理解した。
こんなにもバカだったんだ……自分は。
それでよくここまで一松の保護者をつとめてきたものだ。
神父の身を知りながら、目先の事を優先して己を殺す。
「…クソッ」
だが、トド松は俺の肩を優しく撫でた。
「大事な人を救えるんだ、魂なんかどうだっていい。」
「……え?」
「僕が神父と同じように命を犠牲にして、大事な人を守ろうとしたとき言った言葉です。」
大事な人を救えるんだ、魂なんかどうだっていい。
本当に今でもそう思う。
でも分かる。それは言葉を綺麗にした言い方で、本当の意味は、
他人の望みを勝手に決めつけて、周りを見ずに己を殺す。
俺は、地位も力も愛も持っていながら、飢えていたのか。
「それで、天界から、身を投げたんです。」
「そう…か…」
「だからせめて、これで後は死ぬだけなんて思わないで。僕のような後悔はさせたくないから。悪意と後悔だらけに満ちた魂なんて僕は狩りたくない、錆が更に酷くなっちゃう。」
彼が持っている鎌は、天使がどれだけ人を殺めたのか、悲しい位、分かる。
天使だった彼にとって、人を殺めた時の感情はどれくらいなんだろう。
どんなに辛い思いをしたのだろう。
きっと…俺よりもずっと。