【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《後編》
第3章 鎌に滴る、血の雫
「……っ!?」
思わず声を飲み込んだ。
その声は他の誰でもない。おそ松兄さんだ。
おそ松兄さんが後ろにいる。この前の態度をまるで忘れたかのような態度。
なのに後ろを向けない。胃液が逆流するのを必死に口を抑えた。
「~~~~!!」
涙が滲んで前が濡れる。
その時、おそ松兄さんが背中を擦った。
「どーしたトド松?何か変なものでも食ったか?」
おそ松兄さんの爪が背中に引っ掛かるのを感じる。
摩擦熱のような体温がじんわりと背中を暖める。
やっと口の中をのみ込んで、後ろを振り向く。
……生まれてからずっと見てきた、大好きな人の顔。
「おぞ松兄ざん…もう、会えな゛いがど…」
「なに、兄ちゃんがそんくらいでお前を嫌いになると思うか?」
八重歯を見せつけて笑う兄さん。
あんな事したのに、許してくれるの?
僕、兄さんを殺そうとしたんだよ?
普通だったら今ここで殺してもいいのに。
ほら身体を刺しなよ、悪魔は天使の脳が大好物何でしょ?
堕天使だけども、ほら、殺そうとした罰────────
頭から赤い液体が垂れだした。