【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《後編》
第1章 灯の明かり、月の誘い
ガクガクと震える脚で、逃げる。
神様から逃げるなんて、出来る訳ないと知っていても。
いや…この兄から逃げる方法は1つあるっ…
僕も兄さんみたいに─────────
「っ…」
崖の上で立ち止まる。
肉眼で見えない真下の世界に、あの時の約束を思い出す。
『泣かないで?チョロ松兄さん』
そうだった。
チョロ松兄さんは僕がいないと1人なんだ。
何で逃げてるんだ、僕。
まるでチョロ松兄さんが悪者見たいじゃないか。
「十四松?何で逃げるの…」
そこに、ちょうど僕を追ってきた兄さんがやってくる。
「あ…兄さん…」
いつもの表情の兄さん。
あの怖かった瞳が、幻覚のようだった。
僕が疲れてたから、兄さんが怖く見えたのだろう。
そう理解し、最後のページが途切れた日記を返した。