【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《後編》
第3章 鎌に滴る、血の雫
ふと、十四松兄さんの事が頭によぎった。
『トド松。』
懐かしい声だ。
もう魔界に慣れちゃって、天界がどうだったかも少し忘れていった。
日記かアルバムか、持って来ればよかったかも。
天使の兄さんは、羽根がなくても、真っ黒の衣でも、みんなが『天使』と呼んでしまうほど綺麗な天使だった。
小鳥のような歌声に、
人を魅了する幼い笑顔。
誰にでも平等に愛するその心。
おそ松兄さんだけに特別に集中していた事を除いて、完璧な天使。
人間界の教会でも、僕ら四人を慕っている信者は少なくなかった。
神として優秀だった赤と緑の双神。
その二人と共に人間達を祝福する天使の僕ら。
……人間から、そう言われていたっけ。