【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《後編》
第2章 独りの神父が、護りたいもの
絞り切ったような声。
その泣きっ面の表情に俺は一松の部屋から出るしかほかなかった。
その日から、一松は俺を兄弟として接することはしなかった。
俺に対して敬語をつかい、俺を兄さんと呼ばずカラ松神父と呼んだ。
その代わり、真面目に働いた。
元々、ほかと変わらないただのシスターだったかのように。
それはそれで寂しかった。でも、これで一松はシスターから叱られず、ほかと変わらない普通の人間として生きてこれるのだろうと。
それでも構わなかった。
寂しいのは俺の私情だ。皆には関係ない。
だからこれでいい。そう思っていた。
でも、一松はあの不真面目な時のレッテルを剥がせずにいた。
それのせいで一松の心にはどんどん闇が積もっていき、暗くひねくれた性格になった。もう、誰も信じる事などしなかった。俺と口を聞く事もなかった。