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【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《後編》

第9章 もう、全てを終わらせよう


【一松】

「った……」

指先に切ったガラスの血をちゅ、と吸った。
足音たてて堂々と入る僕を四人は見てる。

「一松…お前なんで…」

おそ松がこちらを見つめる。

「『一松』っ…?あの、おそ松兄さんと…」

羽が欠けた緑の悪魔がこちらに牙を向けた。

恐ろしい顔だ。
反射的に少し足を引いたが、緑の悪魔は睨むだけ。

「っ…たッッ!」

痛みを訴えた。
おそ松が動くなと、緑の悪魔に寄り添う。

そんなおそ松には、羽も角も尻尾も、何もなかった。

まるで、人間みたいに。

「…この地に降り立った悪魔よ。自らの地へ帰りなさい。

この地に降り立った我らが神よ、天界へ眠り給え。」

昔習った聖書の一部。
肌に冷や汗が滴り、喉が張り裂けそうだ。

「悪魔よ、消えるべき罪悪の精霊。犯した罪を懺悔なさい…」

そう言った一寸先、大きな羽がバサバサと血を飛ばした。

「懺悔…!?」

血は自分の顔にもかかり、裾で擦る。

「僕が、懺悔…?人間に…?」

こっちへ一歩近づいてゆく。
だけど、たった数歩でその場に倒れた。

「チョロ松!!」
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