【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《後編》
第8章 ただの必然、ただの運命
「……だったらなんなんですか?」と、
たいした態度は、まるで最初から知っていたよう。そしてそれは、何かがちくりと刺さったようで。
「一松、その事を知ってたのか?」
「いえ…」
だったらなぜ、こんな大きな事実に冷静にいられるのか、と思っていたら
「僕の部屋にアルバムがあったから。子供の僕たちが、仲良くしていた写真が。」
と。
俺は後悔した。
一松は泣いていない。とてつもなく悲しいのだ。
自分は、他人と思っていた神父と血の繋がりがあること。
だったらなぜ、兄弟だった記憶がないのか。なぜ、自分はあの写真の奥でわらっているのか。
どんなに頭を巡らせても、一松の頭に兄弟という記憶はない。
記憶を奪うのは、思い出を奪うのと同じだから。