【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《後編》
第8章 ただの必然、ただの運命
【おそ松】(過去)
「おそ松兄さんッ!!」
チョロ松の悲痛の叫び声。これが何となく脳に形に残ってんの。
俺が堕天した日。
俺は悪者だよ。全て背負い込んで、誰にも頼らなかった。そして、弟の目の前で死のうとして。
チョロ松が俺の手を引っ張ろうと手を伸ばした。この手を後一寸もない程度に前に持っていったら、チョロ松が手を掴めるはずだった。
ただ。俺は。その手を。
掴まなかった。
天地の向こうへまっ逆さま。悪い人間が地獄へ堕ちるのと同じて、悪い神様は悪魔になる。
俺はきっと悪魔になる。あーあ、チョロ松可哀想。
兄貴が目の前で死んだんだもんな。それも罪だ。神様失格の死刑だ。
自分の肩甲骨辺りに違和感を感じた。派手ではないが軋む痛み。
悪魔の羽…だ。悪魔になったんだと、当たり前の出来事にため息を吐いて、眼を瞑る。
目が覚めたら、初めての魔界。ざっくり言うと、天界とは真逆のものだった。
あ、そういえばと自分が悪魔になった事を思い出した。
背中をぺたぺた触る。…なにもない。
「嘘だろっ…?」
だって、罪のある神様と天使には悪魔の羽が生えるって。
もしかして…………