【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《後編》
第8章 ただの必然、ただの運命
【一松】
ふっと左手を握る。
この手は、赤の他人の命を、無駄に切り捨てた。
生まれてきた奇跡を、台無しにした手。
この手の中に、いくつの命があるんだろうと思うと、手の甲を向けて、全部溢したくなった。
「なにしてるの」
「…なんでもない」
…………
「…あのさ」
「どうしたの?一松」
「……カラ松神父が、いないと寂しい。会いたい。」
急な言に、おそ松は表情変えず相づちした。
「ん、そうだね、大事な人だもんね。」
「………会わせて欲しい。お願い。」
「え」
おそ松はぽかんと軽く口を開いた。何がそんなにおかしい事なのか、意味は分からない。
「…それが一松の願い?」
意味深な笑い方。おそ松は時々不思議な事を言う。
「会わせてくれるなら。」
なんか怖い。
「…仰せのままに。」
気持ち悪いくらい主従な返事が返ってきた。