第1章 短編集1
現実は違った。こんなにも世界が何もない様にに見えるなんて。世界が暗転して、の声も姿も遠くにあるような。そういや最近眠れていない。あー今仕事来て欲しくないなー・・・
ピルルルルッ・・・ヴーヴー・・・ピルルルルッ・・・ヴーヴー
もう最悪。空気読んでよ団長。
席を立って外へ出た。
「もしもし?」
「ああ、シャル。その・・・話は聞いた。」
電話に出れば聞き慣れた頭の声。
「が話したの?」
「いや、オレが彼女に話すように言った。だから彼女を責めるなよ ・・・・・・いつなんだ」
「・・・・・・明後日辺りかな」
自分の声が弱々しかった。とても、とても。
「そうか。・・・お前旅団を辞めるつもりはないのか」
「・・・そんな事考えもしなかった。それに、オレ居なかったら旅団がダメになっちゃうでしょ?ははっ」
本当に辞めるなんて考えていなかった。渇いた笑いが嫌みったらしく晴れた空へ消え、自分の鼓膜に響いた。
「分かった、気が変わればいつでも言えよ。」
「分かった」
通話が終了してツーッ、ツーッと音が聞こえても耳に受話器を当てていて、力無くその場に崩れ落ちた。頬に暫く感じていなかった感覚がつうっと流れる。嗚呼、自分は今泣いているのか。
「あー・・・あ」
さっきの真っ青に晴れた空は嘘みたいに雲が覆われていき、大粒の雨を降らせた。やはり、この天気が今の気分に合っていて落ち着く
もしも、なんて馬鹿げた言葉が自分を嘲り嗤っている。
もしも自分とが出逢っていなかったら。
もしも自分が旅団員じゃなくて普通の仕事をしているヤツだったら。
もしもが男だったら。
嗚呼、実に馬鹿らしい