第1章 短編集1
=彼は四拍子、彼女は三拍子。=
その日はに誕生日プレゼントは何が欲しいか聞きに行った。
「、今年の誕生日プレゼントは何がいい?」
「シャル・・・。」
「どうしたの?」
青ざめた真剣な表情で彼女が自分の名前を呼ぶ。・・・悪い予感がする。
「子供・・・が」
「え?」
「シャルと私の子供・・・できちゃったの・・・」
嗚呼、自分の予想なんて遥かに越えて悪い事だった。こんなにも苦渋の選択をせねばならないなんて。
「そうなんだ・・・で、どうするの?」
決められた選択をに問う自分は本当に残酷だ。がもしも違う答えを言ったらなんて希望を持っているのかな。本当に、本当に残酷だ。
「堕ろす・・よ・・・」
は目を涙でいっぱいにして決められた方を答えた。が決められた選択をした事からの安堵と、もう片方の選択をしていたら運命は変わったかもしれないのにと言う彼女への焦燥感が押し寄せる。
違う、彼女は正しい決断をした。そうせざるを得ないんだ。間違っているのは紛れもなく自分だ。
「・・・うん、その方がいいね」
もう少し自分が嘘をつけない人間ならに気持ちが近い事を察せられたのにと、感情を押し殺すのが得意な自分を責めた。