第1章 短編集1
隣に座れるのは少なからず彼が私を信用しているからだと信じたい。私を抱いてる時は少なからず彼が私に感情を抱いてると信じたい。
時々分からなくなるくらいに彼の感情表現は薄い。
そんな薄い感情表現を掬い取るのが最近得意になってきた。新しい感情を見つけていくたびに楽しみが増えた。
「何見てるか、気持ち悪い」
「ううん、別に。綺麗だなあって。」
この会話、何回しただろうか。
無口な貴方の声を聞くことが出来る少ない機会だから聞き逃さないよう耳を傾けるのも体が勝手に動くまでに慣れてきた。
こんな些細な事で喜んでるって言ったら貴方は呆れるかな?
馬鹿だと言う?
それでも好きだからしょうがないでしょ。
死ぬ時には貴方に殺されたい、そんな事を思ってこれからも。