第1章 機械の噂
「お、ここだ。
図書室なんて初めて来たなぁ」
図書室っていうだけあって本が多い。
しかも全て医学書という。
「居ないなぁ、イケメンくん」
電気は点いてるものの、人っ子1人居ない。
ムダ足だったかな。
「退いてくれない?」
「わぁっ、びっくりしたぁ…。
脅かさないでよ」
急に後ろから声をかけられた。
「ねぇねぇ、イケメンくん知らない?」
「知らない」
「えっとね、名前…なんだったかな。
外科の子」
「興味ない」
「君ねぇ、僕の方が歳上だし医者だよ?
ナースちゃんは…」
「私、医者だから。
白衣着てるの分からない?」
ようやくこっちを見てくれた。
「あ…本当だ。
ごめんね」
「別に」
正面から見た彼女は、綺麗な目をした強そうな女の子だった。
そう、これが神那ちゃんだ。
今より少しだけ髪は短いが、この頃からあの強い瞳は変わらない。