第1章 機械の噂
「あ、神崎先生。
どうかされたんですか?」
「んー?別に何も?
師長さん居るかな?」
「はい、呼んで来ますね」
「お願いね〜」
パタパタと音を立てて去るナースの子に手を振る。
訪れた場所はナースステーション。
情報を知るにはここが適任だよね、やっぱり。
「神崎先生、わたくしに何か用でしょうか?」
白髪混じりの茶髪を1つに束ねた女性。
彼女が看護師長だ。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけどね」
「わたくしに答えられることでしたら」
「機械って誰かな?」
「あぁ、そのことですか」
「知ってる?」
「もちろんです。
神崎先生はご存じないのですか?」
「残念ながらね、そんなに有名なの?
その機械って子」
「はい」
言い切られちゃったよ。
参ったね、僕だけ知らないなんて。
「教えてくれるかな?」
「分かりました。
機械というのは外科の霜月先生のことです」