第6章 引き抜き

「要するに」


珍しく口を開いた神那に目をやり、続きを促す。


「人間は心肺停止に陥ってから10分脳に酸素がいかないだけで死に至る。

救急車が到着までにかかる時間はおよそ10分。

それでは本当に急を要する患者は助けられない。


その上心肺停止してからの時間が長ければ長い程、一命を取り留めても脳は激しく損傷するし、重症外傷では傷を負ってから1時間以内に徹底的な処置を行うことが重要になる。


だから必要な機材と技術を持った医者が現場に趣き、応急処置を施す制度が必要になった。




そういうこと？」



「あ、あぁ。

凄いな…あれだけの説明でそこまで分かるのか？」


「まぁ」


私自身も今の日本にもそういう制度が必要であると前々から思っていた。


だから最初の説明を聞いただけでピンと来たのだ。