第3章 天才と秀才
「相変わらずの自信ね」
「自信なきゃ外科医なんてとっくに辞めてる」
「それもそうだね。
………ねぇ、神那ちゃん」
すこし間を空けてからその重い口を開いた。
「ここの外科医って正直レベル低いと思わない?
向上心はないし、仕事量も若い人の方が断然多い。
上の人のミスも下の人が庇うしね」
「…神崎がそういうこと言うなんて珍しい」
普段はニコニコして、悪口なんて滅多に言わないのに。
「何かあった?」
「別に何も?
前からそう思ってたけど、最近神那ちゃんを見ててもっとそう思うようになったんだ。
腕がある医者を、気に入らないからなんてそんなくだらない理由で使わないなんて。
バカにも程があるよね」
いつものニコニコ顔が一変、今の神崎の顔に表情はなく、冷たい目をしている。