第2章 機械の実力
「時間がない、ここで応急処置しよう」
1人でにそう漏らした。
「え、ここで?
オペ室行かないの?」
「行ってる時間が勿体ないでしょ。
それにこの時間帯は空いてないことの方が多い」
「あ…確かに」
その場で開胸し、処置を施す。
「凄い…」
ポツリと感嘆の声を漏らした男。
細かな作業をミスなく進めて行く。
あとは縫合だけ…か。
「ストップ、縫合なら僕がやるよ」
「は?」
「大丈夫だから変わって」
笑っていない、真剣な表情。
「…好きにすれば」
その剣幕に思わず患者を譲ってしまった。
「ありがとね」
場所を入れ替わるなり、常人以上のスピードで縫合して行く。
この人…腕は確かだ。
「はい、終了。
あとは青島さんに診て貰ってね」
「は、はい」
患者を看護師に預け、伸びをする男。
「君凄いね、あんなに細い作業を。
ちょっと尊敬しちゃった」
また前のヘラヘラした表情。